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【安倍なつみ】出演『トゥーランドット』観劇レポ2008.4.12マチネ

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なっちの歌は磨きがかかってたけど、作品全体の完成度は上がってなかったですねえ。

昨日(4/12)、
赤坂ACTシアターで上演された祝祭音楽劇『トゥーランドット』の
マチネ(昼公演)を観劇しました

なっちの『トゥーランドット』を観るのは、
3/29ソワレに続いて2回目。
(前回のレポは、こちらからどうぞ)

前回は迫力の最前列(1階D列)での観劇でしたが
今回は舞台全体がよく見渡せる6列目(1階I列)で観たので
全体のバランスや構成がよく見えて、観劇に適した席でしたね。

また、席の前が通路だったこともあり、
役者さんが前を通って演技することが度々あって
今回も臨場感溢れる『トゥーランドット』体験になりました


それでは、なっちを中心に再びキャスト別にレポしてみたいと思います。

安倍なつみ(リュー役)

なっちは声がさらに太くなってパワーが増していたし
歌は繊細さが加わって
歌詞のひとつひとつが胸に響いてくる
いや突き刺さってくる感じでしたね

カラフを想うリューの心を、
リミットオーバーで体現していて、
まっすぐに情熱的に演じれば演じるほど
結末を知っているだけに心が痛みました。

なお今回の舞台で、
唯一笑いが起こったのは、
リューが早乙女太一さん演じるミンを石で殴るシーン。

本当は笑えない場面だと思うのですが、
なっちのひたむきさ、健気さが観客に伝わって
笑いを誘ってしまったのかも知れませんね


●アーメイ(トゥーランドット役)

片言のセリフを聞くのは2回目ですが、
自分の中ではさらに受け容れ難かったです

また、
歌は前回よりも艶が出てきて、
パワーも増していましたが、
それでも胸に伝わってくる度合いは、なっちの半分ぐらい

残念ながら、
アーメイはミスキャストで、
作品の完成度を上げられない原因になっていると
感じてしまいましたね。


岸谷五朗(カラフ役)

声の迫力が増していて、
前回よりも力強いカラフになっていましたが、
心情表現はいまひとつでした

また、
歌も全体的に低調な仕上がりで、
役作りの熟成度は上がっていない感じでしたね。


中村獅童(ワン将軍役)

クライマックスの演技は修正されて良くなってましたが
声も演技もパワーダウンしていて、悪役ぶりが空回りしている感じ。

初日から2週間を過ぎているので、
そろそろ疲れが出てくる時期なのかも知れませんが、
5/22まで続く長丁場なので、持ち前のパワーで頑張ってほしいですね


早乙女太一(ミン役)

ミンに対する理解が深まったのか、
前回よりも感情表現にメリハリがついてましたね

ただその分、
細やかな演技や妖艶な舞いに荒さが目立つようになって
熟成させる方向には疑問を感じました

性別を感じさせない人間離れしたキャラのほうが、
リューとの絡みも抵抗感無く見られるし、
個人的にはそちらの方がいいのですが・・・。


小林勝也(ティムール役)

セリフに深みは増していましたが
ティムール役に対しては説明不足で
作品におけるポジショニングは相変わらず中途半端でしたね

これは、
役作りというよりも、
脚本の問題なのかも知れません。


北村有起哉(物売り役)

コミカル度が増していて
笑いが極端に少ない『トゥーランドット』の中で
いいアクセントになってましたね

一筋縄ではいかないキャラクターで、
かなりの難役だと思うのですが、
余裕すら感じてしまうのは、
北村さんの演技力の賜物なのだと思いました。


ということで、
なっちの進化と頑張りは突出していましたが
作品の質は残念ながら上がっていませんでしたね

なお、
今回特に気になったのは、
主役のキャラと歌の部分。

自分は単純な人間なので、
主人公に感情移入して観劇したいタイプなのですが、
トゥーランドットもカラフも
心情が見えてこなくて、感情移入しづらいキャラですよね

物語にいまひとつ入り込めなったのは、
この辺に原因があるのかも。

また今回、
歌の部分で魅了してくれたのは
なっちと脇役のコーラス部分のみ

アーメイさんは実力を出し切れなかった感じだし
岸谷さんと中村さんには多くを期待できないしで
音楽劇といいながら
キャスティングの段階から脆弱さが見え隠れしていたのかも

せめて、
ミュージカル専門の役者さんを
ひとりぐらい主要キャストに配していれば
歌の部分で厚みが増したのかも知れませんね。


う~ん、
今回の『トゥーランドット』は、
豪華絢爛な舞台セット
丹精込めて作られた衣装
心の琴線に触れるような音楽と
見どころは数多いのですが
作品に魂を入れるのはやはり役者だと思っています

今さらキャラ変更やキャスト変更はできませんが、
出演者のさらなる奮起で、千秋楽まで何とか走り続けてほしいですね・・・。